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ゲロゲロ、困ったな

2007/01/29(月) 10:06:16

ツボカビ症 カエルの危機は人の危機

 ゲロゲロ、困ったな。




 ぼくたちカエルの一族と両生類の同胞が、絶滅の危機だというではないか。ツボカビ症という皮膚病が地球のあちこちで猛威をふるっているようだ。

 98年に報告があった感染症。被害はそれ以前からあったらしい。豪州や中南米などで大勢の仲間が犠牲になっている。その病気が、ついに日本に上陸した。

 この知らせを受けて、日本野生動物医学会、世界自然保護基金(WWF)ジャパンなどが「カエルツボカビ症侵入緊急事態宣言」を出してくれた。

 「私たち専門家は速やかに行動計画を策定し、可能な限りの努力を尽くす」として、お役所にも実態調査や検疫の強化、販売・流通の監視などを求めた。

 ツボカビ症を起こす微生物(真菌)は、ぼくら両生類の皮膚で増殖し、水中では自ら泳いで広がる。感染したぼくらの仲間やその死体を野外に出したりしないよう専門家は呼びかける。この病気にヒトがかかったという報告はないが、両生類の致死率は90%以上という。

 それにしても、宣言には驚いた。

 たしかに、ヒトビトは最近、地球規模で広がる感染症の対策に熱心だ。ただ、各国の政府や国際機関などが予防や封じ込めに乗り出すのは、ヒトの病気か、いずれヒトの健康を脅かしかねない動物の病気が中心だった。

 ところが今回は、ぼくたち野生動物のために、腰を上げてくれたのだ。

 一昨年秋に米国で開かれた両生類保護サミットでも、世界中の科学者が、新たな脅威としてこの問題を話し合った。

 それはきっと、ぼくらの危機が、回りまわってみんなの危機になることに気づいたからに違いない。ぼくらが減れば、ぼくらを食べるヘビや鳥も道連れになって減る。その一方で、ぼくらが食べる虫たちは、大手をふってのさばるだろう。こうなれば、自然界の生態系はがたがただ。農業に携わるヒトビトも困ったことになる。カエル嫌いのヒトも「関係ない」では済まない。

 そもそも、このツボカビ症はヒトビトがつくり、広めたものらしい。

 麻布大助教授の宇根有美さんによるとこの真菌は、もともとアフリカツメガエルの仲間に寄生し、静かに暮らしていた。この仲間とは相性がよく、悪さはしなかった。ところが1930年代、この仲間は人間の妊娠判定に使う動物として重宝され、アフリカからの輸出が増えた。輸出先で別のカエルにとりつき、病気を起こすようになった。次に食用のウシガエルが感染を広げ、最近は、ペットブームで飛び火しているのだという。

 仲間たちをかわいがって世話してくれるのはうれしい。でも、それにはリスクが伴う。宣言にある「むやみに野生の両生類をペットとして飼育することは慎んで」という言葉に耳を傾けてほしい。

 ともあれ今回、ヒトビトはぼくらを地球の仲間と思い、本気になってくれた。敬意を込めて、ゲロゲロ。

http://www.asahi.com/paper/editorial20070128.html



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